【保存版】弁護士なしで戦う「本人訴訟」完全ガイド|手続きの流れから勝つための準備、プロの活用法まで
「弁護士費用を払う余裕がない」
「自分の言葉で、裁判官に正当性を訴えたい」
「相手との関係上、弁護士を立てずに解決したい」
様々な事情から、弁護士と代理人契約を結ばず、自分一人で裁判を行う**「本人訴訟(本人による訴訟遂行)」**を選択する方が増えています。
日本の法律では、本人が訴訟を行うことは認められています。しかし、法律のプロではないあなたが、難解な手続きや法廷での駆け引きに挑むのは、想像以上の重圧と困難を伴うのが現実です。
このページは、**たった一人で戦いに挑むあなたのための「羅針盤(ガイド)」**です。
現役の弁護士が、本人訴訟のメリット・デメリット、具体的な手続きのロードマップ、そして**「自分で行いつつ、要所だけプロの力を借りる」**という賢い選択肢まで、実務の視点から徹底的に解説します。
第1章:本人訴訟とは? まず知っておくべき基礎知識
日本では、弁護士をつけずに自分自身で訴訟を行うことが法律上認められています(民事訴訟法第54条1項)。これを「本人訴訟」と呼びます。
特に簡易裁判所(訴額140万円以下)の事件では、実は多くのケースが本人訴訟で行われています。
本人訴訟のメリット
本人訴訟のデメリット・リスク
【セルフチェック】弁護士なしで裁判(本人訴訟)ができる? 5つの判定基準
以下の5つの項目すべてにチェックが入る場合は、ご自身で進められる可能性があります。

□ 1:【証拠】「契約書」や「明確な記録」がある
「言った・言わない」の争いではなく、契約書、借用書、LINEの履歴、録音データなど、誰が見ても明らかな客観的な証拠が手元に揃っている。
□ 2:【争点】事実に争いがないor事件の内容がシンプルである
「貸したお金を返してほしい」「家賃を払ってほしい」など、争いのポイントが単純である場合には本人訴訟がおすすめです。
※「医療過誤」「建築紛争」「親権争い」「複雑な慰謝料請求」などは、法的な専門知識が必須となるため、本人訴訟は推奨されません。
□ 3:【提出資料の準備】資料の作成に抵抗がない
裁判手続きには、訴状、証拠、証拠説明書、準備書面、陳述書などの資料を作成する必要があります。必要資料の調査や資料作成に抵抗がある場合には、充分な訴訟活動ができず、不利になるリスクがあります。
□ 4:【時間】平日の日中に時間が取れる
裁判(口頭弁論)は、基本的に**平日の日中(10時〜17時頃)**に行われます。 月に1回程度、指定された日時に裁判所へ出向くか、Web会議システム等で対応するための時間を確保できる(会社を休める)。
□ 5:【メンタル】相手との対立に耐えられる
法廷で相手方(または相手の弁護士)から厳しい反論を受けたり、自分の主張が通じなかったりしても、感情的にならず、冷静に書類を作成し続ける精神的なタフさがある。
| 事件類型(おすすめ度☆☆☆) | 本人訴訟の向き・不向きの理由 |
| 【◎ 】★★★ 敷金返還請求 | <争点がシンプル> 「部屋が汚れていたかどうか」という事実関係が中心で、写真や契約書があれば戦えます。請求額も少額なことが多く、弁護士費用をかけると費用倒れになるため、本人訴訟のメリットが大きいです。 |
| 【◎ 】★★★ 個人間の貸金請求 (60万円以下など) | <証拠が明確> 「借用書」があり、相手も借りたこと自体は認めているなら、法的な争点はほぼありません。60万円以下なら「少額訴訟」制度を使えば、1回の期日で判決まで進めます。 |
| 【〇】★ 未払い残業代請求 (証拠完備・少額) | <計算だけの問題> タイムカードや就業規則などの証拠が完璧に揃っていて、計算式に当てはめるだけなら可能です。労働基準監督署の調査結果などがあればさらに有利に進められます。 |
| 【〇 】★ 離婚調停 (合意形成済み) | <話し合いベース> 「離婚すること」自体には双方が納得しており、養育費などの条件調整だけであれば、調停委員が間に入るため本人だけでも進めやすいです。 |
| 【× 非推奨】 医療過誤訴訟 | <専門性が高すぎる> 「医師のミス」を証明するには高度な医学論争が必要です。協力医の確保や証拠保全など、プロである弁護士でもチームを組むレベルの難易度であり、本人が行うのは不可能です。 |
| 【× 非推奨】 不貞・ハラスメント (慰謝料請求) | <精神的負担・立証の壁> 「言った・言わない」の争いになりやすく、決定的な証拠がないと負けます。また、直接相手と対峙すること自体が精神的に大きなストレスとなり、二次被害に繋がります。 |
| 【× 非推奨】 立ち退き・不動産 | <法解釈が複雑> 借地借家法という特殊な法律が絡み、「正当事由」があるかどうかの法的判断が必要です。強制執行の手続きまで見据える必要があり、手続きが非常に煩雑です。 |
| 【× 非推奨】 解雇無効・地位確認 | <相手が本気で来る> 会社側は顧問弁護士を立てて徹底的に争ってきます。「解雇権の濫用」という法的な主張を組み立てる必要があり、素人が太刀打ちするのは困難です。 |
| 【× 非推奨】 遺産分割 (親族間対立) | <長期化・泥沼化> 親族ならではの感情的対立が激しく、解決まで数年単位の時間がかかることもザラです。過去の金銭のやり取り(使途不明金)など調査事項も多く、途中で挫折するリスクが高いです。 |
第3章:図解でわかる! 民事訴訟の全体像とロードマップ

STEP 0:民事訴訟に臨む心構え
本人訴訟では、主張や立証の全責任を自ら負います。裁判官はあくまで公平な立場であり、手取り足取り教えてくれるわけではありません。手続きのルールを熟知し、冷静かつ論理的に進める覚悟が必要です。
【STEP0で作成する資料】
原告:紛争に至った経緯を時系列に整理したメモ
被告:紛争に至った経緯を時系列に整理したメモ
【整理メモ例】紛争経緯一覧表
事案の概要: 工作機械部品の製造業者(甲・当社)が、取引先(乙・相手方)に対して、納品済み製品の未払い代金(330万円)を請求する事案。相手方は「製品に不具合があった」として支払いを拒絶している。
【本人訴訟を行う前の必読記事】
STEP 1:訴えの提起(スタート)
原告が「訴状」を裁判所に提出し、それが受理されて被告に届くことで裁判が始まります。被告側は「答弁書」で反論します。
【STEP1で作成する資料】
原告:訴状・証拠説明書
被告:答弁書・証拠説明書
STEP 2:争点整理(中盤・山場1)
お互いに言い分を記載した「準備書面」と、それを裏付ける「証拠(書証)」を出し合います。
当事者間で、何が主要な争いなのか(争点)を絞り込む、非常に専門的なフェーズです。
【STEP2で作成する資料】
原告:準備書面・証拠・証拠説明書・陳述書
被告:準備書面・証拠・証拠説明書・陳述書
STEP 3:証人尋問・本人尋問(終盤・山場2)
書類だけでは分からない事実を確かめるため、法廷で当事者や証人の話を聞きます。
ドラマのようなシーンですが、事前準備なしで挑むと、相手方(プロの弁護士)の反対尋問で崩される危険性があります。
尋問を行う前に、誰に対してどのような尋問を行う予定かを裁判所に書面で提示します。裁判所は、この書面をもとに、裁判時間などをスケジュール調整することになります。
【STEP3で作成する資料】
原告:尋問事項書
被告:尋問事項書
STEP 4:最終局面(和解or判決)
裁判所が判断を下す(判決)、またはお互いが譲り合って合意する(和解)ことで解決します。
【STEP4で作成する資料】
原告:最終準備書面・和解案・控訴状
被告:最終準備書面・和解案・控訴状
第4章:一人で抱え込まない。「部分的な弁護士サポート」の活用法
「すべてを弁護士に依頼する(代理人契約)」か、「すべて自分一人でやるか(完全本人訴訟)」の二者択一ではありません。
賢い方は、ご自身で裁判を進めながら、**重要な局面だけプロの知見を借りる「本人訴訟支援(リーガル・コーチング)」**を活用しています。
当サイト「LL-GUIDE」では、あなたの本人訴訟をバックアップするサービスを提供しています。
1. 継続的なアドバイス(リーガル・コーチング)
定期的にご相談いただき、裁判の進行状況に合わせて「次の一手」や「主張の組み立て方」をアドバイスします。あなたの「戦略参謀」として機能します。
2. 書面作成指導・添削
あなたが作成した訴状や準備書面を弁護士がチェックします。「法的に通らない主張」を修正し、「裁判官に響く表現」へのブラッシュアップを指導します。 ※あくまで「ご本人が作成するための指導」となります。
3. 尋問のシミュレーション
最大の難関である尋問期日の前に、模擬尋問(リハーサル)を行います。想定される質問への受け答えや、相手への質問事項を一緒に練り上げます。
4. 和解案の妥当性チェック
「裁判所から和解案が出たが、これを受け入れていいのか?」「もっと有利な条件を引き出せないか?」といった判断をサポートします。
おわりに:あなたの戦いを応援します
本人訴訟は、決して楽な道のりではありません。しかし、しっかりと準備をし、適切なタイミングで専門家の知見を取り入れれば、納得のいく結果にたどり着くことは十分に可能です。
「一人で戦う」と決めつけず、「プロを道具として使う」くらいの気持ちでいてください。
もし、手続きの中で不安な点や、行き詰まりを感じることがあれば、まずは一度、当事務所の法律相談をご利用ください。現状を整理するだけでも、視界が開けるはずです。








