相続登記は自分でできる?費用を抑えるための全手順

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弁護士町田北斗

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自分でできる「相続登記」の全手順と「費用を抑える方法」を解説した記事のアイキャッチ。専門家費用をかけずに実費のみで完了させるまでの流れを、PCで作業する男性とホワイトボードの図解で分かりやすく示したイラスト。 相続
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序章:相続登記は「自分でできる」

1. 読者が直面する問題提起と記事を読むメリット

  • 問題提起: 2024年4月からの相続登記の義務化により、「罰則を避けたいが、司法書士や弁護士に払う報酬を節約したい」と考えていませんか?
  • LL-guideの結論: 相続登記は法律上、ご自身で手続き可能です。しかし、その裏には時間、労力、そして失敗リスクという大きな代償が伴います。
  • 読後のメリット: 本記事では、あなたが自分で手続きを完了させるための具体的な全手順と、専門家なしで進める際のリスクと対処法を、弁護士が明確に解説します。

2. 相続登記とは? なぜ今「自分でやる」人が増えているのか

  • 相続登記=不動産の名義変更であり、2024年4月1日から義務化された手続きであること。
  • 自分でやる理由:司法書士や弁護士への**報酬(約5万円〜15万円)**を節約したいというニーズの高まり。

Ⅰ. 義務化の期限と罰則リスク:自分でやる前に知るべきこと

1. 放置で過料!「3年の期限」の正しい計算方法

  • 期限の原則: 不動産を取得した**「自己のために相続があったことを知った日」から3年以内**に申請しなければならないこと。
  • 罰則(過料): 期限を正当な理由なく過ぎた場合、10万円以下の過料が科される可能性があること。
  • 【弁護士の警告】 自分で手続きを進め、書類の不備で期限に間に合わなかった場合も、過料のリスクは回避できません。

2. 「相続人申告登記」による一時的な回避策

  • 目的と機能: 3年以内に遺産分割が終わらない場合に、罰則を回避するための一時的な猶予措置であること。
  • 手続きの簡便さ: 戸籍謄本など最低限の書類で、相続人であることを法務局に申告できること。登録免許税は不要
  • 注意点: あくまで仮手続きであり、遺産分割が確定した後には再度、本登記を行う義務が発生すること。

3. 「自分でやる」最大の落とし穴:時間と労力のリスク

  • 自分でやる場合、必要書類の収集、遺産分割協議書の作成、法務局での申請手続き、補正対応(書類の修正)の全てを自己責任で行う必要があること。
  • 専門家に依頼した場合との比較: 自分でやる場合は専門家に依頼する数倍の時間と労力がかかり、その間に生じる機会損失も考慮すべきであること。

Ⅱ. 【完全版】自分でできる相続登記の全手順ロードマップ

相続登記を自力で完了させるために必要な、具体的なステップバイステップの手順を解説します。

相続登記の4ステップのチャート

1. ステップ1:必要書類の収集と準備

  • 故人(被相続人)に関する書類:
    • 出生から死亡までの戸籍謄本(相続人を確定するために必須。本籍地の市区町村役場での取り寄せが必要)。
    • 住民票の除票または戸籍の附票。
  • 相続人に関する書類:
    • 相続人全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)。
  • 不動産に関する書類:
    • 固定資産評価証明書(登録免許税の計算に使用)。
    • 登記簿謄本(最新情報を確認するため)。

2. ステップ2:遺産分割協議書の作成と押印

  • 作成の必要性: 遺言書がない場合、または遺言書の内容と異なる分割をする場合に必須。
  • 記載すべき事項:
    • 不動産の正確な表示(地番、地目、地積などを登記簿通りに記載)。
    • 誰がどの不動産を単独で取得するのかを明確に記載。
  • 全員の押印: 相続人全員が署名し、実印を押印すること。一か所でも不備があれば無効となるリスクがあること。

3. ステップ3:登記申請書(様式)の作成と添付書類の準備

  • 法務局の様式利用: 法務局のホームページから**「所有権移転登記申請書(相続)」**の様式をダウンロードし、必要事項を記入。
  • 登録免許税の計算と貼付: 固定資産評価額×0.4%を計算し、収入印紙を購入して申請書に貼り付ける。
  • 添付書類の最終確認: 申請書、遺産分割協議書、全戸籍謄本、印鑑証明書などが揃っているかチェックリストで確認。

4. ステップ4:法務局への提出と補正対応

  • 提出先: 不動産の所在地を管轄する法務局に持参または郵送する。
  • 補正(ホセイ)対応: 提出後、書類に不備があった場合、法務局の登記官から連絡が来ます。期限内に指示通りに修正対応(補正)を行わないと、申請が却下されるリスクがあること。

Ⅲ. 【弁護士の視点】自己申請の限界とプロの役割

1. 自分で手続きが「困難」になる3つのケース

  • ケース1:相続人が多数・数次相続の場合
    • 戸籍謄本が数十通に及び、内容の確認と収集に膨大な時間と費用がかかる。
  • ケース2:遺産分割協議が難航している場合
    • 相続人同士の感情的な対立があり、話し合いがまとまらない。この場合、弁護士でなければ代理交渉や調停・審判の申立てができないこと。
  • ケース3:過去の相続(代襲相続)が絡む場合
    • 相続人の誰かが先に亡くなっており、その子ども(代襲相続人)が多数いる場合など、法的判断が複雑になること。

まとめ

1. 記事の要点

項目自分で手続き専門家に依頼
法定費用0.4%の登録免許税はかかる0.4%の登録免許税はかかる
プロへの報酬0円(節約)5万円〜15万円程度(費用の目安)
手続きの確実性低い(不備リスクが高い)極めて高い
紛争リスク相続人同士で全てを処理する必要がある協議の代理・交渉を依頼可能

2. 弁護士からの最後のメッセージ

  • 相続登記義務化は、あなたの未来の安心を確定させるための機会です。放置せず、必ず3年以内に手続きを完了させてください。
  • 自分で進めて「手に負えない」「家族間の空気が悪い」と感じたら、それは専門家の助けが必要なサインです。
  • 「自己流での手続き失敗」が、最も費用と時間がかかる結果になることを避けるため、ご自身の状況を正確に把握することが重要です。
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