「契約書がない!」口約束だけでトラブルに…LINEやメールは証拠になる?【弁護士が解説】

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弁護士町田北斗

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2018年 弁護士登録(東京弁護士会)

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【弁護士が解説】「契約書がない!」口約束だけでトラブルに…LINEやメールは証拠になる?の記事のアイキャッチ画像。左側に契約書がなく困っている男性、右側にLINEやメールが証拠になることを解説する弁護士のイラストが描かれています。 スモールビジネス
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「昔からの付き合いだから」「急ぎの案件だったから」

信頼関係のもと、契約書を交わさずに仕事を進めることは、現在の実務の現場では珍しくありません。しかし、いざ報酬を請求する段階になって「そんな金額は約束していない」「そもそも発注していない」とトラブルになった時、契約書がないことは致命的になり得ます。
口約束でも契約は成立します。そして、LINEやメールも裁判で有力な証拠になり得ます。

この記事では、契約書がない場合の法的効力と、トラブル解決のために集めるべき「証拠」について解説します。


1. そもそも「口約束」で契約は成立するのか?

まず大前提として、日本の法律(民法)では、一部の例外(保証契約など)を除き、契約書の作成は契約の成立要件ではありません。

  • 当事者の合意(申し込みと承諾)

これさえあれば、口頭であっても、メールやLINEのやり取りであっても、法的に有効な契約として成立します(諾成契約といいます)。

なぜ「契約書」が必要なのか?

契約書がなくても契約は有効ですが、トラブルになった際に**「言った・言わない」の水掛け論になるリスクがあります。契約書の最大の役割は、「契約があったこと」と「その中身」を証明するための「証拠」**としての機能です。


2. LINEやメールは「証拠」として認められるか?

「契約書」というハンコが押された紙がなくても、あきらめる必要はありません。裁判実務において、LINE、メール、チャットワーク、Messengerなどのやり取りは、契約の存在を証明する「有力な証拠」として扱われます。

裁判所は、以下のような要素がメッセージに含まれているかを確認し、契約の成立を認定します。

証拠能力が高いメッセージの具体例

単に「了解しました」だけでなく、以下の**「契約の重要要素」**が含まれているやり取りを探してください。

重要要素LINE・メールでの具体例
業務の内容「〇〇のWebサイト制作の件ですが~」「××工事の件、着手します」
金額(報酬)「見積もりの通り**30万円(税別)**でお願いします」
発注の意思「その条件で正式にお願いします」「進めてください」
納期・期限「今月末までに納品をお願いします」

【弁護士のポイント】

相手からの「お願いします」という一言だけでなく、その前後の**「見積書を添付したメッセージ」や「具体的な作業内容を提案したメッセージ」**とセットで保存しておくことが極めて重要です。


3. トラブル発生!今すぐやるべき証拠保全の3ステップ

相手が支払いを渋ったり、契約を否定してきた場合、すぐに以下の行動をとってください。相手がメッセージを取り消したり、アカウントを削除したりする前に行う必要があります。

① LINE・チャットの「スクリーンショット」と「履歴保存」

  • スクリーンショット:ただ本文を撮るのではなく、**「相手の名前」「送信日時」**が入るように撮影してください。
  • テキストデータの保存:LINEには「トーク履歴を送信」する機能があります。万が一のためにテキストデータとしてもバックアップを取っておきましょう。

② その他の周辺証拠をかき集める

メッセージ以外にも、契約を推認させる事実は証拠になります。

  • 着手金や中間金の入金履歴(通帳の記帳)
  • 作成した成果物・納品データ(実際に仕事をしたという事実)
  • 業務日報や手帳のメモ(打ち合わせの日時や内容の記録)
  • 通話録音(事後の交渉であっても、「あの時は〇〇円と言っただろう」という発言が取れれば大きな証拠になります)

③ 内容証明郵便を送付する

弁護士名義、あるいはご自身名義であっても、**「内容証明郵便」**を送ることは相手に強い心理的プレッシャーを与えます。「法的手続き(訴訟など)も辞さない」という強い意思表示になるため、この段階で支払いに応じるケースも少なくありません。


4. 今後トラブルを避けるための「自衛策」

これからは、どんなに親しい間柄でも、必ず**「文字で残す」**癖をつけましょう。

正式な契約書を作る時間がない場合でも、以下のメールを一本送るだけで、リスクは激減します。

【発注確認メールの例】

〇〇様

本日はお打ち合わせありがとうございました。

先ほどの口頭での合意内容に基づき、以下の通り業務に着手いたします。

・業務内容:〇〇の作成

・報酬金額:〇〇万円(税別)

・納期:〇月〇日

認識に相違がございましたら、〇日までにご返信ください。

特にご返信がなければ、この内容で進めさせていただきます。

このメールに対し、相手から否定する返信がなければ、**「黙示の承認」**があったと主張しやすくなります。


まとめ:契約書がなくても諦めないでください

「契約書がないから請求できない」というのは誤解です。

お手元のスマートフォンにあるLINEやメール、そしてこれまでの業務の実績そのものが、あなたの権利を守る武器になります。

  • 口約束でも契約は成立する。
  • LINEやメールは重要な証拠になる。
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