「特別寄与分・寄与分・特別縁故者」の違いと公平な財産分配の仕組み

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弁護士町田北斗

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弁護士が解説する「特別寄与分」「寄与分」「特別縁故者」の違いと「公平な財産分配」の仕組みの記事アイキャッチ。3つの制度の具体的な貢献内容(介護や支援)と、それが天秤で公平に評価される様子を分かりやすく図解したイラスト。 相続
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相続は、民法で定められた法定相続分が原則です。しかし、血の繋がりや婚姻関係だけでは評価できない、長年の献身的な介護や経済的な貢献が存在します。

これらの「貢献」を無視せず、実質的な公平を実現するために設けられたのが、「寄与分」「特別寄与分」「特別縁故者」という3つの制度です。これらは目的は似ていますが、誰が、どのような状況で利用できるかが全く異なります。

【記事のポイント】
法定相続分では評価できない貢献を救済するのが、この3制度です。
特別寄与分: 相続人ではない親族の献身的な介護などに報いるため、相続人に金銭を請求する。※6か月/1年の期限厳守。
寄与分: 法定相続人が貢献した場合に、自身の相続分を増額する。
③特別縁故者: 相続人不在の場合、特別な縁故者に残余財産を分与する。※公告期間満了後3か月の期限厳守
※いずれも家庭裁判所の関与と、貢献の客観的立証が必要です。


  1. 1. 3つの制度の共通点:法の原則を超える貢献の評価
    1. 共通点:なぜ制度が必要なのか
    2. 共通点:家庭裁判所の関与が必須
  2. 2. 3つの制度の決定的な相違点
  3. 特別縁故者制度(残余財産の分与)
    1. 制度の目的と条件
    2. 法的な流れ
    3. 💡 特別縁故者と認められるための要件
      1. 1. 制度利用の前提条件
      2. 2. 特別縁故者の具体的な類型
    4. ⚖️ 特別縁故者への財産分与の申し立ての流れ
      1. 1. 相続財産管理人の選任申し立て(準備段階)
      2. 2. 特別縁故者への財産分与の審判の申し立て
      3. 3. 審判による分与額の決定
    5. 📅 申立期間(厳守すべき期限)
    6. 📑 申し立てに必要な主な書類と資料
  4. 特別寄与分制度(貢献者に報いる金銭請求)
    1. 制度の目的と請求できる人
    2. 法的な流れ
      1. 💡 特別寄与料の請求に必要な要件
      2. ⚖️ 特別寄与料の請求と申し立ての流れ
        1. 1. 相続人との協議
        2. 2. 家庭裁判所への調停・審判の申し立て
      3. 📅 申立期間(最も重要な注意点)
      4. 📑 申し立てに必要な主な書類と費用
        1. 申立費用
        2. 必要書類(標準的なもの)
  5. 両制度の決定的な違いと実務上の注意点
  6. 1. 寄与分の定義と目的
    1. 定義
    2. 目的
  7. 2. 寄与分として認められる「特別な貢献」
  8. 3. 寄与分の決定方法と手続き
    1. 💡 寄与分が認められるための要件
    2. 寄与分の主な類型
    3. ⚖️ 寄与分の請求と申し立ての流れ
      1. 1. 共同相続人との協議
      2. 2. 家庭裁判所への審判の申し立て
    4. 📅 申立期間(注意点)
    5. 📑 審判申し立てに必要な主な書類
    6. 🚨 弁護士に依頼すべき理由

1. 3つの制度の共通点:法の原則を超える貢献の評価

共通点:なぜ制度が必要なのか

3つの制度はすべて、**「現行の法定相続制度では救済できない、特定の貢献や縁故を金銭または財産として評価する」**ことを共通の目的としています。血縁主義的な相続ルールを是正し、公平性を高めるために存在します。

共通点:家庭裁判所の関与が必須

これらの制度は、相続人の財産権に影響を与えるため、当事者間の合意がなければ、必ず**家庭裁判所の手続き(協議、調停、審判)**を経て、その事実と金額の適正性が認められる必要があります。


2. 3つの制度の決定的な相違点

最も重要な違いは、貢献者が法定相続人か否か、そしてそもそも法定相続人が存在するのか否かという前提条件です。

法定相続人(ほうていそうぞくにん)とは、民法によって定められた、被相続人(亡くなった人)の財産を相続する権利を持つ人のことです。遺言書がない場合や、遺言書に記載がない財産がある場合に、この法定相続分(割合)に従って遺産を分割します。
法定相続人となるのは、常に相続人となる配偶者と、以下の順位の高い親族です。
第1順位: 直系卑属(子、子が亡くなっている場合は孫)
第2順位: 直系尊属(父母、父母が亡くなっている場合は祖父母)
第3順位: 兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥姪)
※上位の順位の人が一人でもいる場合、下位の順位の人は相続人にはなれません。

各制度の違い適用される前提請求できる人 (貢献者)受け取るものの性質具体的な実例
特別縁故者法定相続人が誰もいない場合(相続人不存在)被相続人と特別に縁故のあった人 (親族でなくても可)相続財産清算後の残余財産(財産そのもの)長年献身的な介護をした隣人、または内縁の妻が、国庫に帰属するはずの財産を分与される。
寄与分法定相続人がいる場合法定相続人自身相続人として受け取る法定相続分の増額無給(低給)で長年親の家業に従事した長男が、その貢献分を上乗せして相続する。
特別寄与分法定相続人がいる場合法定相続人ではない親族(子の配偶者など)相続人に対して請求する金銭債権が義父(被相続人)の介護を無償で献身的に行い、その労力に見合う金銭を相続人(夫や義理の兄弟)に請求する。

特別縁故者制度(残余財産の分与)

特別縁故者制度は、法定相続人が一人も存在しない場合に適用されます。
相続人がいない場合、本来は、財産は国庫に帰属することになります。
しかし、故人と特別な縁があった人が財産を引き継ぐための制度です。

制度の目的と条件

  • 前提条件: 被相続人に、子、親、兄弟姉妹、配偶者など、法定相続人が一人もいないこと。
  • 対象者(特別縁故者):
    1. 被相続人と生計を共にしていた者(事実上の夫婦、内縁の配偶者など)
    2. 被相続人の療養看護に努めた者
    3. その他、被相続人と特別に縁故があった者(長年の友人や介護施設の職員など)

法的な流れ

特別縁故を主張するものが、家庭裁判所へ申立てを行い、相続財産清算人による債権者などへの清算手続きが完了した後、最終的に残った財産(残余財産)が特別縁故者に分与されます。

💡 特別縁故者と認められるための要件

特別縁故者の財産分与申し立ては、以下の前提条件を満たした上で、家庭裁判所に「特別の縁故」があったと認められる必要があります。

1. 制度利用の前提条件

  1. 相続人不存在の確定: 法律上の相続人が一人もいないこと、または全ての相続人が相続放棄をしたことが確定していること。
  2. 相続財産管理人の選任: 家庭裁判所により、相続財産管理人が選任されていること。
  3. 法定期間の満了:
    • 相続債権者・受遺者に対する請求申出の公告期間(6か月以上)が満了していること。
    • 相続人捜索の公告期間(6か月以上)が満了していること。

2. 特別縁故者の具体的な類型

特別縁故者として認められる「特別の縁故」とは、単なる友人関係や知人関係を超え、被相続人の財産の維持・増加への貢献や、被相続人の療養看護など、生計を一にする程度に近しい関係にあったことが求められます。

【特別縁故者と認められる具体例】
被相続人と生計を同じくしていた者:内縁の配偶者、事実上の養子など。
被相続人の療養看護に努めた者:長期にわたり献身的に介護・看護を行った親族または第三者。
その他、被相続人と特別の縁故があった者:被相続人の事業を無償で支援していた者など。

⚖️ 特別縁故者への財産分与の申し立ての流れ

特別縁故者への財産分与の申し立ては、相続財産管理人の職務の一環として行われます。

1. 相続財産管理人の選任申し立て(準備段階)

特別縁故者の申し立てに先立ち、利害関係人(債権者、特別縁故者になり得る者など)または検察官が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てる必要があります。

2. 特別縁故者への財産分与の審判の申し立て

法定の公告期間(相続人捜索期間)が満了し、相続人がいないことが確定した後、3か月以内に、特別縁故者に対する財産分与の審判を申し立てます。

  • 申立人: 特別縁故者であることを主張する者自身。
  • 申立先: 相続財産管理人を選任した家庭裁判所
  • 相手方: 相続財産管理人。
  • 事件名: 特別縁故者に対する財産分与

3. 審判による分与額の決定

家庭裁判所は、申し立てに基づき、以下の点を総合的に考慮して、財産を分与するかどうか、また分与する場合の財産の種類や額を決定します。

  1. 特別縁故者が被相続人の財産の維持または増加に貢献した程度。
  2. 療養看護の期間、献身性、経済的負担の有無。
  3. 被相続人との生前の交流の深さ、親密性。

分与される財産は、原則として、相続債権者や受遺者への清算が完了し、残った財産の中から決定されます。


📅 申立期間(厳守すべき期限)

特別縁故者に対する財産分与の申し立てには、家庭裁判所による相続人捜索の公告期間が満了した日の翌日から3か月という申立期間が定められています。

この3か月の期間を徒過してしまうと、家庭裁判所に申し立てる権利を失い、残余財産は最終的に国庫に帰属することになります。期限の遵守は絶対的です。

📑 申し立てに必要な主な書類と資料

家庭裁判所への申し立てには、特別縁故者としての具体的な関わりを裏付ける以下の資料が必要です。

  1. 申立書:特別縁故者であることを主張する理由、希望する分与財産の種類と額を記載。
  2. 当事者目録・財産目録
  3. 戸籍関係書類
    • 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(相続人不存在を確定させるため)。
    • 申立人の戸籍謄本など。
  4. 相続財産管理人選任審判書謄本
  5. 特別縁故があったことを証明する資料
    • 生計同一:住民票の写し、公共料金の領収書、被相続人の日記など。
    • 療養看護:介護日誌、医療費の領収書、介護にかかった交通費の記録、第三者の証言書(陳述書)など。
    • 事業貢献:業務記録、被相続人からの感謝を示す書簡など。

特別寄与分制度(貢献者に報いる金銭請求)

特別寄与分制度は、法定相続人がいる場合に、相続人ではない親族の献身的な貢献を金銭で評価するための制度です(2019年7月創設)。

制度の目的と請求できる人

  • 前提条件: 法定相続人が存在すること。
  • 請求できる人:被相続人の親族であることが条件です。最も典型的なのは、**子の配偶者(嫁や婿)**です。
    • 例: 長男の嫁が、長年にわたり無償で義父(被相続人)の献身的な介護を行ったケース。
  • 貢献の内容: 無償で療養看護に努めた、または事業に関する労務を提供したことが、寄与分に相当するほどの重大な貢献である必要があります。

法的な流れ

特別寄与者が法定相続人に対し、その貢献に見合う金銭を請求します。話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所に協議に代わる処分(調停・審判)を申し立てることになります。

💡 特別寄与料の請求に必要な要件

特別寄与料の支払いを請求するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 請求者が相続人ではない被相続人の親族であること
    • 親族とは、6親等内の血族、3親等内の姻族を指します。
    • 相続人、相続放棄をした者、相続欠格者、廃除された者は含まれません。
  2. 被相続人に対し、無償で療養看護その他の労務の提供をしたこと
    • 療養看護:寝たきりの被相続人の介護など。
    • その他の労務:被相続人の事業への無償の従事など。
    • 無償であることが必要です(有償のヘルパーなどは対象外)。
  3. その労務提供により、被相続人の財産の維持または増加について「特別の寄与」があったこと
    • 単なる扶養義務の範囲を超え、通常期待される程度を上回る貢献である必要があります。
    • 財産の維持・増加と特別寄与者の貢献との間に因果関係があることが求められます。

⚖️ 特別寄与料の請求と申し立ての流れ

特別寄与料の支払いは、まず相続人との協議により決定します。協議が調わない場合や協議をすることができない場合に、家庭裁判所に**特別の寄与に関する処分調停(または審判)**を申し立てることになります。

1. 相続人との協議

特別寄与者は、個々の相続人に対し、その法定相続分に応じて特別寄与料の支払いを請求します。

  • 請求の相手方: 請求に応じるべき相続人全員、または一部の相続人。
  • 協議の重要性: まずは請求内容と根拠となる証拠(介護記録、費用の領収書など)を示し、合意による解決を目指します。
2. 家庭裁判所への調停・審判の申し立て

協議が不調に終わった場合は、家庭裁判所に申し立てを行います。

  • 申立先:
    • 調停の場合:相手方である相続人の住所地を管轄する家庭裁判所。
    • 審判の場合:相続開始地(被相続人の最後の住所地)を管轄する家庭裁判所。
  • 事件名: 特別の寄与に関する処分調停(または審判)

📅 申立期間(最も重要な注意点)

特別寄与料の請求は、以下のいずれかの期間を経過すると、請求権が消滅してしまうため、迅速な対応が不可欠です。

期限起算点期間
短期特別寄与者が相続の開始(被相続人の死亡)および相続人を知った時6か月を経過したとき
長期相続開始の時(被相続人の死亡の時)1年を経過したとき

いずれかの期限が到来すると、家庭裁判所に申し立てることができなくなります。特に短期の6か月はあっという間に過ぎ去ってしまうため、注意が必要です。


📑 申し立てに必要な主な書類と費用

家庭裁判所に申し立てを行う際に一般的に必要となる書類と費用は以下の通りです。

申立費用
項目費用備考
収入印紙(申立手数料)申立人1人につき1,200円相手方または被相続人が複数の場合は、人数に応じて費用が増える場合があります。
連絡用の郵便切手各裁判所によって金額が異なります。申立先の家庭裁判所の書記官またはホームページで確認が必要です。
必要書類(標準的なもの)
  1. 申立書:特別寄与の内容や特別寄与料の請求額を記載します。
  2. 申立人及び相手方(相続人)の戸籍謄本:発行から3か月以内のもの。
  3. 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍を含む):相続人を確定するために必要です。
  4. 被相続人の財産に関する資料:財産目録、不動産の登記事項証明書、預貯金残高証明書など。
  5. 特別の寄与があったことを証明する資料
    • 療養看護の場合:介護日誌、医療費の領収書、介護にかかった交通費の記録、被相続人の病状に関する診断書など。
    • 事業の援助の場合:事業への貢献を示す帳簿、業務記録、無償であったことを示す資料など。

これらの必要書類は、裁判所や事案によって異なる場合がありますので、事前に管轄の家庭裁判所に確認するか、専門家である弁護士に相談することが確実です。


両制度の決定的な違いと実務上の注意点

この2つの制度は、適用される状況と、受け取るものの性質が根本的に異なります。

項目特別縁故者特別寄与分
前提となる状況法定相続人がゼロの場合法定相続人がいる場合
主な請求者内縁の配偶者、事実上の家族、献身的な介護者(親族でなくても可)子の配偶者(嫁・婿)など相続人以外の親族
受け取る対価残余財産(財産そのもの)相続人に対して請求する金銭債権

寄与分(きよぶん)」とは、相続人の中に、被相続人(亡くなった人)の財産の維持または増加に特別な貢献をした人がいる場合に、その貢献を金銭的に評価し、公平な相続を実現するために設けられた制度です(民法第904条の2)。

これは、相続人ではない親族のための「特別寄与分」と異なり、法定相続人自身が相続財産から受け取る分を増やすための制度です。


1. 寄与分の定義と目的

定義

共同相続人の中で、被相続人の生前に特別な寄与をした者に対し、その貢献度に応じて法定相続分とは別に財産を分け与えるものです。

目的

法定相続分(法律で定められた割合)だけでは、献身的な貢献をした相続人と、全く貢献しなかった相続人が同じ割合で財産を受け取ることになり、不公平が生じます。寄与分は、この実質的な不公平を是正することを目的としています。


2. 寄与分として認められる「特別な貢献」

単なる親子としての扶養義務の範囲内での行為や、一般的な援助は寄与分として認められません。**「通常期待される程度の貢献を超えた、特別な行為」**が必要です。

主な類型は以下の通りです。

寄与の類型具体的な行為の例
家業従事型被相続人の**事業(農業、商店、会社など)**に、無報酬または低報酬で長期間従事し、財産増加に貢献した。
金銭出資型被相続人の財産購入資金や、負債の弁済資金を無償で提供し、財産の維持・増加に貢献した。
療養看護型被相続人が病気や高齢により介護が必要な状況で、献身的な療養看護無償または通常期待される程度を超えて行った。
扶養型被相続人を通常の扶養義務を超えて長期間にわたり扶養・生活援助し、被相続人の財産の減少を防いだ。

特に**「療養看護型」の場合、その看護が無償であること**、そしてヘルパーを雇うなどの費用に代わるほどの特別性があることが求められます。


3. 寄与分の決定方法と手続き

寄与分は、相続財産を計算する際に最初に財産総額から控除されます。

💡 寄与分が認められるための要件

寄与分が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 相続人であること:請求者が共同相続人であること。
  2. 特別の寄与であること:被相続人との通常の扶養義務や協力義務の範囲を超え、通常期待される程度を上回る貢献であること。
  3. 財産の維持または増加への貢献であること:寄与と被相続人の財産の維持または増加との間に因果関係があること。

寄与分の主な類型

実務上、寄与分が認められる「特別の寄与」は、主に以下の類型に分類されます。

類型内容具体例
① 家業従事型被相続人の営む事業に無償またはこれに準ずる低額の対価で従事し、財産の維持・増加に貢献した場合。農業や商店などの家業に長期間無給で従事した。
② 金銭等出資型被相続人の財産取得のために金銭や財産を提供した場合。不動産の購入資金や事業資金を拠出した。
③ 療養看護型被相続人の病気療養について、特別の必要性があるにもかかわらず、献身的に看護・介護し、本来かかるべき費用(介護費用など)の支出を防いだ場合。重度の要介護状態の親族を長期間、無償で自宅介護した。
④ 扶養型通常の扶養義務の範囲を超えて、被相続人を扶養し、その生活費の支出を免れさせた場合。

⚖️ 寄与分の請求と申し立ての流れ

寄与分は、まず共同相続人間での協議によって決定されます。協議が成立しない場合に、家庭裁判所に寄与分を定める審判を申し立てます。

1. 共同相続人との協議

寄与分の主張を行う相続人は、他の共同相続人に対し、寄与の具体的な内容と、これに基づき算定した寄与分の額を提示し、協議を求めます。

  • 協議の重要性: 協議が成立すれば、その内容を記載した遺産分割協議書を作成し、寄与分を反映した具体的相続分で遺産分割を行うことができます。

2. 家庭裁判所への審判の申し立て

協議が調わない場合や、協議をすることができない場合は、家庭裁判所に審判を申し立てます。

  • 申立先: 相続開始地(被相続人の最後の住所地)を管轄する家庭裁判所。
  • 事件名: 寄与分を定める処分審判(通常は、遺産分割調停・審判の中で、関連事項として同時に申し立てられることが多いです)。

📅 申立期間(注意点)

寄与分を定める審判の請求は、遺産分割の審判または調停において行わなければなりません(民法第904条の2第4項)。

したがって、特別寄与分のような「〇か月」といった独立した短期の期限はありませんが、遺産分割手続きが終了してしまうと、寄与分の主張はできなくなります

実務的には、遺産分割調停または審判の初回期日までに、寄与分を主張する旨を裁判所に伝達し、その根拠資料を提出することが必要です。

📑 審判申し立てに必要な主な書類

遺産分割審判手続きの中で寄与分を主張する場合、遺産分割審判申立書に追加して、以下の書類や資料が必要となります。

  1. 寄与分に関する主張書面:寄与の時期、内容、期間、寄与分の算定根拠(金銭換算額)を詳細に記載したもの。
  2. 寄与を裏付ける証拠資料
    • 家業従事型:事業の収支に関する資料、税務資料、従事期間を示す資料など。
    • 療養看護型:介護日誌、医療費・介護保険サービスの利用状況、第三者(医師、介護士など)の証言書、要介護認定の資料など。
    • 金銭等出資型:送金記録、金銭消費貸借契約書、不動産登記簿謄本など。
  3. 被相続人の財産に関する資料:遺産の特定と価値を証明するための資料(不動産登記事項証明書、預貯金残高証明書など)。

🚨 弁護士に依頼すべき理由

どちらの制度も、**「特別の縁故や貢献があった」ことを客観的な証拠(介護記録、金銭支出の記録、第三者の証言など)**に基づいて立証し、家庭裁判所の審判を得る必要があります。この複雑な立証作業と、裁判所への申立て手続きを適切に行うために、弁護士のサポートが不可欠です。

相続財産の分与や貢献の評価をご検討の際は、お早めにご相談ください。

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